連載第1回　　オリオン座 　その１
	小田原史談会 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平倉　正　記
	市内の本町にあった映画館で、大正２年に 旧片岡本陣の跡に、定員８００の洋館二階建て の「有楽館」として開館、大正８年には「吾妻館」 と名を代えましたが、関東大震災で罹災したという 古い歴史があります。その後ながく再建されませ んでしたが、その吾妻館跡に昭和２１年に「オリオン座」として再出発しました。 　東京銀座の歌舞伎座をイメージしたという華やかな外観の建物で、当時の市民の人気を呼びました。	昭和21年開館当時のオリオン座写真
	その柿落し（こけらおとし）に上映されたのが、エロー ル・フリン主演の総天然色映画「ロビン・フツドの冒険」。「総天然色映画」などと云うと、若い人たちに笑われますが、初めて目にするボクたちには、ピッタリのネーミングで、暫くの間カラー映画は「総天然色映画」と呼ばれ、金髪、碧眼の「天然色女優」なんて呼ばれる女優さんまで出ました。 　当時小学６年生だつたボクは早速母にねだって、わくわくしながら観に連れて行ってもらいましたが、弓の試合の場面のカラフルに塗られた的の鮮やかさ、緑滴るようなシャーウッドの森の木々、豪華な官殿の大広間で繰り広げられる派手な西洋チャンバラの場面など、今も目を開じれば鮮やかに甦ります。 　　　　　　　続く（第２回は３月上旬公開予定　お楽しみに）
	ｴﾛｰﾙ・ﾌﾘﾝ	ｵﾘｳﾞｨｱ・ﾃﾞ・ﾊｳﾞｨﾗﾝﾄﾞ